築後200年以上の長屋門をもつ旧家の蘇生でありますが、一度移築されている上に数回による改築も行われており、かなり現代的な部分が見られる建物でした。建物全体を蘇生することは難しいと判断し、玄関を含む昔ながらの田の字型の4部屋を蘇生とし、他は改築とすることにしました。
この家の魅力は、大きな吹抜とした茶の間と階段を設けたホールで、昔から天井裏でこの家を見つづけていたスス竹を再度天井材として使用し、昔と同色の土カベで仕上げているところです。また、改築したLDKにも昔を思わせる松丸太の梁を室内に見せ、天然素材の使用により新鮮な空間をつくり出して蘇生部分との調和をもたせています。新しい丸太が新たな歴史を刻み、200年後・300年後にまた蘇生されることを期待するものです。