阪神大震災で被災し全壊の判定を受けた、築後280年の歴史を持つ旧家の「蘇生」です。主屋・長屋門・酒蔵からなる歴史的景観は長い間、この地域の風景をつくっています。「蘇生」によって、地域景観を継承しながら快適な生活が送れる現代住宅として蘇らせています。この家の魅力は、内部空間の豊かさにあります。280年の歴史を伝える赤土塗りの風格ある座敷、土間を改造した吹き抜けを持つ食堂・居間、ゆったりとした2階のホール、小屋裏を利用した海の見える勾配天井の子供室など、伝統的な構造をいかした空間構成となっています。なかでも食堂・居間は時間を刻み込んで黒々とした大黒柱や丸太梁が何本も吹き抜けに掛かり歴史を感じさせます。そこに入れた素木の柱や梁、台所前の石積の柱やカウンターなど、新たに入れた素材やデザインは古いものとの対比によってよりいきいきとし、新鮮な空間をつくりだしています。一時は直す事が不可能と思われていたものが蘇り、「蘇生」の魅力あふれる現代住宅となっています。
